No.002 2026.06.12 🍀 ものがたり

🍀 冬にまいた種の話

むかし、というほど昔ではないけれど、あるところに、ひとりの旅人がいた。🚶

旅人は長いあいだ、ある「灯りを守る仕事」をしていた。🏮 夜どおし灯りを絶やさぬよう見回る、根気のいる仕事だ。そこには同じ灯りを守る仲間がいて、いちばん寒い夜にはこっそり甘いものを分け合い🍫、いちばん長い夜には「あと少しだね」と励まし合った。🌙

やがて旅人は、灯りを守る仕事を卒業して、自由な旅に出ることになった。🎒✨

旅立ちの日、旅人は仲間に小さな種をひとつずつ手渡した。🌱

「季節がふたつ巡ったら、この種が咲くから。
咲いたら、ごちそうを食べに行こう」🌸

仲間たちは笑った。旅立つ人はみんなそう言うのだ。そして、たいてい忘れるのだ。😌

ところが。

季節がひとつ巡ったころ、種がほんとうに芽を出した。🌱✨「約束の日が決まったよ」——芽はそう書いてあった。仲間たちはあわてて自分の畑の都合をやりくりした。畑はいつだって人手が足りない。💦 それでも、どうにか、その日を空けた。🗓️🙏

✦ ✦ ✦

🌤️ そして、約束の日

よく晴れていた。☀️ 旅人の馬車が仲間をひろい、海の見える街へ。🚗🌊

テーブルには、ふだんは年に一度も出会えないようなごちそうが並んだ。🍽️✨ 誰かが「わぁ」と言い、誰かが急いで絵姿に残した。📸 話は尽きなかった。守っていた灯りの話、旅人が見てきた南の海の話🏝️、こらえきれない笑い話。😂 大変だったはずの夜の記憶が、ごちそうと一緒に、ぜんぶ甘くなった。

ごちそうのあと、旅人は「あたたかいものでも飲みにいこう」と、つぎの目的地へ仲間を誘った。☕✨ もちろん、誰も「帰ろう」とは言わなかった。😊

☕ あたたかい白い杯

たどり着いたのは、できたばかりの赤いレンガの家。🧱✨ あたたかい白い杯の店だ。☕ まだ木の香りが残る店内で、旅人が懐に手をやると、仲間たちは首を振った。

「ここは私たちの番」🩷

ごちそうをした側の旅人が、いちばん小さな一杯を、いちばんありがたくいただいた。🥹 窓から光が差して、誰かが杯をかかげ、誰かが両手で包み、誰かが小さく指で印を結んだ。✌️ その瞬間がひとつ、絵姿に残った。📸✨

🎁 乗っ取られた企み

帰り道、旅人にはもうひとつ企みがあった。甘いものの店🍰に寄って、仲間たちに土産を持たせるつもりだったのだ。

ところが、店に入ったとたん、企みは乗っ取られた。😳

仲間たちは、旅人の腕にどんどん甘いものを積んでいく。「これおいしいよ」「これも」「あ、これは絶対」🍮🧁🍪 旅人は「ぷるぷるしたのと、ふわふわしたのだけでいいよ」と言ったのに、気づけば抱えきれないほどの包みが、ぜんぶ旅人のものになっていた。😂

ごちそうをしに来たはずが、いちばんたくさん持って帰ったのは、旅人だった。🎁

その夜、3人はそれぞれの家で、同じことを思った。🌙

——冬の約束は、ちゃんと咲く。🌸
しかも、思っていたより大きく実る。🍀

✦ ✦ ✦

それから旅人は、しばらく便りを出していない。📮

あわてる必要はないのだ。約束は、果たされたばかりだから。つぎの「またね」が半年後か、一年後か、それは風に聞いてくれ。🍃

ただ、旅人は知っている。あのふたりが、どこかの空の下で笑って暮らしていてくれたら、それでもう、じゅうぶんごちそうなのだと。😊🍀

おしまい 🍀✨

A MIKOLAB PRODUCTION 🎬

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